農業共済新聞記事バックナンバー
「東日本大震災から15年
喜ばれるイチゴを作り続けたい」
【亘理町】亘理町吉田地区の丸子裕人(まるこひろと)さん(47)は、40㌃の園芸施設で冬イチゴの「もういっこ」と「にこにこベリー」を栽培。11月から6月にかけておよそ5・6㌧出荷している。東日本大震災で被災後に北海道へ移住し、そこで培った夏イチゴのノウハウを生かして、高品質なイチゴの生産を目指している。
丸子さんはもともと父と冬イチゴ栽培を手がけていた。就農して7年ほどたったころ、東日本大震災が発生。津波でハウスが壊滅したという。「土壌も塩害を受け、何もできない状況だった」と振り返る。そんな中、姉妹都市の北海道伊達市で行われている、イチゴ生産の技術確立を目指した被災農家支援事業の話を聞き、栽培再開を一緒に目指していた父と離れ、北海道へ移住し、イチゴ生産の後進指導・育成に8年間取り組んだ。
北海道では約10種類のイチゴを試験栽培した結果、寒さが厳しい北海道での生産コストや収益性の観点から、夏イチゴの「すずあかね」を選定。すずあかねは、主にケーキなどに使用される。果実が大きくなると商品価値が下がるため、慎重な養液管理が求められる。「養液量を調整して生育を抑えながら育てるが、養液量を少しでも間違えると実が大きくなってしまうため、コントロールして育てるのが大変だった」と丸子さん。
栽培仲間を中心に定期的にミーティングを開き、適切な養液量やイチゴに現れる変化などの情報共有に努めて栽培に生かした結果、安定した出荷ができるようになったという。
今では、「小さな変化を見逃さないという意識は、夏イチゴ栽培で培った。冬イチゴにも共通しているので今でもノウハウとして大切にしている。今後は新品種などにも挑戦しながら、お客さんにもっと喜んでもらえるイチゴをつくっていきたい」と話す。(小泉光)

