農業共済新聞記事バックナンバー
「新規就農して米づくり・酒米にも挑戦」
【大崎市】今年4月に新規就農した大崎市松山の今野嶺(こんのれい)さん(39)。父・稔さん(74)に教わりながら、主食用米と酒米を約10㌶で栽培し、繁殖肥育一貫経営(約50頭)を行う。稲わらを牛の餌、堆肥を米作りに活用するなど循環型農業を取り入れながら米作りを学び、消費者においしい米を届けたいと奮闘している。
「幼いころから手伝いをしていたので農業は身近なものだった」と嶺さん。地元の農業高校を卒業後、県農業短期大学で稲作を学んだ。その後、仙台生花市場に19年勤めていたが、実家の農業規模が徐々に大きくなり、「自分も家族の支えになりたい」と決心し、退職して新規就農した。
主食用米は「つや姫」など2品種で、「蔵の華」を含めた酒米3品種も栽培する。主食用米と酒米はJA新みやぎへ出荷後、酒米は地元の酒造会社「株式会社一ノ蔵」に流通し出荷している。
育苗では、1箱当たりの播種量を約130㌘にする。品質を重視するため、移植後の深水管理を徹底することで、茎1本1本を太くさせるよう工夫し、過剰な分げつを抑えている。嶺さんは「初めての米作りなので、水管理を徹底している」と話す。
また、昔から獣害が多い地域のため、山側には電柵などを設置し対策する。
「就農当初は農機具の操作方法を覚えたり、農薬の散布時期に注意したりと大変だった」と苦労も話す。
今年は、無人ヘリコプターの防除にも初参加した。今後は自分も操縦できるようになりたいと、免許の取得も考えているという。
嶺さんは「農業者の担い手不足に伴い、一人一人の負担が大きくなる中で、農業の基盤を固め、日本の食を支えていることに責任を持ち、将来は規模を拡大して地域貢献したい」と今後の意気込みを話す。(境野政義)