農業共済新聞記事バックナンバー
「安全・安心な農作物をもっと手軽に」
【川崎町】「オーガニックをもっと身近に感じてもらいたい」と話すのは、川崎町前川の「KAM ― O ―NA organicfarm(カモナオーガニックファーム)」の長嶺圭太さん(44)。農薬を使用せずに有機肥料を投入し、環境に配慮した循環型農業を目指している。
東京で友人とジャマイカ料理店を営んでいた長嶺さんは、料理に必要なトウガラシが市場になかなか出回らず、探すのに苦労したことから、自分でトウガラシ栽培を始めた。2020年に仙台市で研修を受け、21年7月に新規就農し、農園を設立した。
1・5㌶の畑とハウス2棟で年間約50種類の野菜と5種類のトウガラシを栽培。「身近な資源を活用し、無駄にしないことを心がけている」と長嶺さん。土壌の微生物を増やすため、町内から出る牛ふん堆肥を主に、廃菌床やビールかすをブレンドした有機肥料を使用。病害虫の予防には、相性の良い作物同士を一緒に植えることで互いに良い効果を与え合う「コンパニオンプランツ」を取り入れ、ハーブやネギなどを使い、農作物に合わせた対策を行っている。
また、町内の気候を生かし、冬は「雪下大根」や「雪下ネギ」を栽培。「見た目は試行錯誤が必要だが、食味は水分量や甘みが増してとても良くなるため、力を入れて取り組んでいきたい」と話す。
今後は、トウガラシをソースに加工して販売したり、栽培した野菜を使用して料理を提供する場をつくったりしたいと意欲的だ。「これからも妥協せず自分にできることから取り組んでいきたい。オーガニックは手に取りづらいという認識を少しでも減らし、安全・安心な農作物をもっと手軽に提供していきたい」と笑顔で話す。(川村日菜)