農業共済新聞記事バックナンバー
「農業を通じて感動と喜びを届けたい」
【山元町】「体験型農業を通じて作物が育つ過程に触れてもらいたい」と話すのは、山元町八手庭の「株式会社おひさま村」で代表取締役を務める鈴木仁一(すずきじんいち)さん(61)。果樹や野菜を栽培する傍ら、交流人口を増やすきっかけになればと農業体験の場を提供し、地域農業の魅力を伝えている。
同社は2019年7月に設立。鈴木さんは三橋智幸(みつはしともゆき)さん(57歳、取締役)と三橋幸太(みつはしこうた)さん(30)と3人で、イチジク1㌶とサツマイモ3㌶をメインに、ブルーベリーや種無しのユズなどを栽培している。
「中でもイチジクは直売所でリピーターが多い」と話す鈴木さん。完熟で甘く実の大きい生食用の「バナーネ」や、栽培が難しく幻の黒イチジクと呼ばれる「ビオレソリエス」など5品種を県内の直売所やスーパーに出荷するほか、加工用として洋菓子店や仙台市内の飲食店などに納品する。
農業体験は、ブルーベリー狩りやサツマイモの植え付けから収穫までの農作業を用意し、小学生から大学生、学校関係者など幅広い年齢層を受け入れている。鈴木さんは「ネット販売など便利になっていくなかで、園地などに直接来て、作物に触れてもらいたい」と話す。
2年前に始めたのが、八手庭地区にある古民家を活用したマルシェやヨガ教室、体操教室、占いなどだ。人が集まる拠点にしたいと、交流の場も提供する。今後はカフェ「ゆるり」をオープンする予定で、同社で栽培した果物などを使ったメニューを考えているという。
今年からは本格的に養蜂も始め、「非加熱の純粋な蜂蜜は貴重でとてもおいしい。カフェのメニューにも取り入れていきたい」と鈴木さん。
「農業を通じて人と関わり、喜びや感動を与えられる場所を提供していきたい」と笑顔で話す。(熊谷莉)