農業共済新聞記事バックナンバー

「父の思い受け継ぎ地域を盛り上げたい」

【南三陸町】「父の思いを受け継ぎ、安定した供給を目指したい」と話すのは、南三陸町志津川の株式会社椎彩杜(しいさいど)代表取締役・髙橋幸記さん(53)。弟で専務取締役の浩幸さん(43)と一緒に、亡くなった父・幸俊さんの思いを受け継ぎ、菌床シイタケの生産で地域を盛り上げたいと取り組む。

 同社は2008年に設立。従業員7人、外国人技能実習生11人と、ハウス9棟で菌床シイタケを栽培する。年間約100㌧の出荷を見込むほか、「生シイタケが苦手という人が親しむきっかけになれば」と、つくだ煮やかりんとうなどの加工品の生産にも取り組んでいる。
 シイタケ栽培は昨年7月に亡くなった父・幸俊さんがJA職員時代に出合い、自らも栽培しようと02年に退職して専業で始めた。幸俊さんと次男の浩幸さんで経営していたが、法人化をきっかけに長男の幸記さんが就農。規模の拡大に伴い、従業員を雇用し雇用機会の創出をしてきた。
 しかし11年3月、東日本大震災の大津波で施設のほとんどと自宅が流失。「終わったと思ったが、それでも父は1週間もすると復興に向けて進んでいた」と幸記さんは振り返る。
 震災後は山あいに場所を移し、県の復興補助事業を活用して13年にハウスの再建をスタート。14年3月には現在の全施設が完成した。
 菌床の基となる培地は自社オリジナルを使用。菌床を管理するハウス内には超音波式加湿器のほかエアコンも設置され、自動空調による適切な温湿度管理下で理想の品質に育て上げる。水分過多の“水シイタケ”にしないことが重要という。
 「まずは経営の安定に努力したい。今後は需要に応じた品質を提供していきたい」と話し、「体験学習を受け入れるなど、地域にも貢献していきたい」と二人は意気込む。(佐藤樹海)

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