農業共済新聞記事バックナンバー
「菌根菌で大豆の収量増へ」
【石巻市】石巻市の蛇田集団転作組合(組合長=西條拓也さん・47歳)は、二毛作で起こる大豆の生育遅れの問題と、倒伏の軽減を目指して、昨年からマイコス菌根菌資材(登録商標=MYKOS)を導入し、大豆の収量増につなげている。
同組合は2025年産大麦61・6㌶、後作に大豆71・8㌶を作付けしている。西條さんは「大麦収穫後の大豆栽培は、品種のやりくりをしても播種が遅れた圃場の生育遅れを取り戻せず、全体の収量にも影響している」と二毛作の課題を話す。
課題解消のため着目したのが、水稲栽培で実績があるマイコスだ。米国RTI社が製造し、米州とEU以外のグローバルマーケットではバイオシードテクノロジーズ株式会社が販売する菌根菌資材だ。大豆栽培にも利用可能か、昨年2㌶で試験栽培を実施。倒伏の軽減が確認でき、収量増につながったことから、本年は全面積での使用を決めた。
使用方法は、種子1㌔に対し資材「MYKOS(マイコス)菌根菌―WP」を5㌘粉衣して播種する。コストは種子100㌔当たり5千円程度だ。
8月末にはマイコス施用と非施用の圃場で比較検証し、生育に大きな差が見られ、効果を再確認できた。
取引先の株式会社NEWGREEN・田中草太企画室長は「菌根菌は植物の根に共生して菌根を形成し増殖する。土壌改良資材として、水稲、大豆、麦、牧草、野菜など幅広い作物に使用できる」と話す。「根と菌が一体化して菌糸を広範囲に伸ばすことで、吸収能力が向上する。さらに、保水性や通気性が改善され、乾燥ストレスへ耐性を高める」と期待できる効果を解説する。
西條さんは「今後も新しい栽培技術や適正品種の採用など、市場のニーズに応えられる高品質な大豆を生産していきたい」と意欲的だ。(高橋和年)