農業共済新聞記事バックナンバー

「炭酸ガスとナノバブル施用で高糖度目指す」大崎市鹿島台

【大崎市鹿島台】ハウス14㌃でデリシャストマト(玉光(ぎょくこう)デリシャス)と「フルティカ」を栽培する大崎市鹿島台の株式会社アベーズキッチンファーム(2013年設立)の阿部宣博(のぶひろ)さん(42)。供給水にナノバブル化した酸素を含ませ潅水ることで、昨年より2倍近くの収量増を上げている。

東日本大震災で食の大切さを実感したという阿部さん。以前からあった農業への関心が高まったことで、建設業から一転し農業の道へ進むことを決めた。
 「昔からトマトが苦手だったが、デリシャストマトはおいしくて食べられた。自分でも作ってみたいと思った」と話す。同地区のデリシャスファーム株式会社で2年学んだ後、自社で栽培を開始した。
 ナノバブル発生機を導入した。給水機と併設し、水分中の溶存酸素量を増やして、根から十分な酸素を与えて成長の促進につなげる。
 「12月から2月までの収量が、昨年に比べて2倍近くまであがった」と効果を実感する阿部さん。6月まで続く収穫に更なる増収を期待する。
 また、炭酸ガスを施用し、ハウス内二酸化炭素濃度を日中800~1000ppmまで高めて光合成を促す。炭酸ガスは送風機を使って群落内に送り込むためハウスを閉め切っていても空気が循環し、収量や品質の向上につながっている。
 水分を抑えた栽培方法がデリシャストマトの高糖度を生み出す。阿部さんのデリシャストマトは8割が9度以上で、光センサーを使った糖度選別機で仕分ける。
 9度以上は「スーパーデリシャス」、10度以上を「紅玉光(べにぎょくこう)」として販売する。
 スーパーの産直コーナーで販売する他、仙台市の飲食店に出荷。自身が経営する同地区のカフェ「N°63 residenza(六十三番屋敷)」では、スープカレーといったオリジナルのデリシャストマト料理で来店者をもてなす。
 今後について阿部さんは「生産したトマトを出荷でなく全て店で消費できるよう、店舗や人材を増やしていきたい」と意欲的に話す。

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