農業共済新聞記事バックナンバー

「安定した生産を~マイタケ菌床栽培」  石巻市 日野伸章さん

【石巻市】「マイタケをたくさん食べて免疫力を高め、風邪の引きやすい冬を乗り切って欲しい」と話すのは、2002年からマイタケの菌床栽培を行う石巻市稲井の日野伸章(のぶあき)さん(58)。マイタケには「骨の成長を促すビタミンDなどキノコの中でもトップクラスの栄養価を誇る」とPRする。

父親がシイタケの原木栽培をしていた跡地を利用し、菌床栽培の栽培施設を設置。家族3人で作業にあたる。
 菌床栽培は施設内の衛生管理により安全性が保たれるため、原木栽培に比べ、虫や害菌、環境汚染による影響を受けにくいメリットがある。また味に強いクセが出にくく品質が均一で、植え付けから収穫まで短期間の生産が可能だ。菌床は岩手県産のミズナラのおがくずと、ふすま(小麦粒の外皮の部分や胚芽などの表皮の部分)を合わせて、水分調整し成形する。
 「農作物と同様にキノコも病気にかかる。菌床栽培は一度発生すると大規模な被害に発展することがあるので、品質管理を常に心掛けている」と日野さん。成長を阻害する雑菌を栽培瓶に残さないよう、菌床・菌種を仕込む前に100℃程の釜に栽培瓶を入れて5~6時間殺菌する。
市内の直売所に出荷  
 施設内は、マイタケが生長する夏から収穫を迎える秋までの温度と湿度を再現。栽培ステージ毎3つの部屋で管理する。この他、酸欠を防ぐため定期的な換気や、傘に色を付けるため光を当てて調整するといった細やかな配慮が欠かせない。
 マイタケは市内の5ヶ所の直売所を中心に販売され、消費者からは「市販のマイタケよりも傘が肉厚でコシがあり、食べ応えがある」と好評を得ている。「一昔前と違って、現在は年間を通じてマイタケの需要がある。消費者に安定しておいしいマイタケを届けられるよう頑張っていきたい」と日野さんは意気込む。 

 

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