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北限のオリーブ栽培 新たな特産に

【石巻市】石巻市北上地区の農事組合法人みのり(千葉昭悦代表理事・70歳)は2015(平成27)年に市から委託を受け、日本の北限オリーブの栽培に着手。千葉さんは「オリーブを石巻の新たな特産品として確立したい」と話す。

みのりは、水稲50ヘクタールを作付けする他、畑13ヘクタールとハウス30アールでモロヘイヤやレタス、ユキナなどを栽培している。
オリーブは、石巻市が東日本大震災の復興樹として14(平成26)年に栽培実験を開始。現在は北上地区の他、河北や雄勝、牡鹿地区の農業法人が栽培に取り組み、「北限オリーブに挑戦」する復興事業だ。
みのりでは4ヘクタールの圃場に1200本以上のオリーブの木が並ぶ。これは、事業で栽培されている総数の8割を占める。
「栽培当初は何もかもが初めてで、提携する香川県のオリーブ農家のアドバイスを受けながら試行錯誤した」と千葉さん。オリーブの栽培には温暖な気候が適している。そのため石巻の冬に対応すべく、強風や寒さに強い品種が選定された。
特に苦労したのは害虫防除。定期的な防除が不可欠で、一本一本の観察を欠かさない。
また、木自体がとても繊細で、ストレスがかかると結実しないため、枝の剪定にも細心の注意を払う。「台風や積雪時は気が気でない」という。
収穫は11月に最盛期を迎え、「昨年は摘み取った62キロの搾油を委託。4年目にして初めてオリーブオイルの加工に成功し、黄金色に輝くオイルを仲間と喜んだ」と話す。
これから成木になる木がが多いため、収量増を見込み、オリーブを加工する加工場が秋に新設され、搾油機が導入される。本格的に商品化が進む予定だ。
オイルのほかにも、オリーブの実の塩漬けや、オリーブの葉を使ったお茶やクッキー等、新商品の検討が進められている。
千葉さんは「オリーブの木は1年でも大きく成長するので、今後の収穫が楽しみ。今は市からの委託事業だが、規模拡大して将来的には、自分たちで栽培していきたい。」と笑顔で話す。

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