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繁殖肥育一貫経営 1頭ごとの情報をデータ管理 肉質の向上へ

佐々木 愛恵さん(大崎市古川)

【大崎市古川】大崎市古川の佐々木愛恵(よしえ)さん(34)は、家業の農業を継いで、黒毛和種の繁殖牛20頭と肥育牛95頭を飼養する一貫経営を行っている。2年前から肥育牛1頭ごとの情報をパソコンで管理し始め、愛恵さんは「日々の観察と肥育管理データを積み重ねることで肉質の向上を目指していきたい」と話す。

愛恵さんは、父・光雄さん(64)の病気をきっかけに一般企業を退職し、2012(平成24)年4月に就農した。「当時は震災の影響で飼養する牛に病気や事故が多かった。地域や先輩の肥育農家の皆さんの支えが励みとなり、何とかしようと奮闘してきた」と振り返る。

現在は、母・かずえさん(59)と従業員1人の計3人で繁殖・肥育一貫経営に取り組む中、かずえさんの指導を受けながら肥育部門を担当している。

「一貫経営は子牛生産から枝肉になるまでを手掛けられるのが魅力。子牛市場の取引価格は高値が続いているため、自家保留することは経費削減につながっている」と愛恵さん。肥育素牛には自家育成牛を保留するほか、7割ほどを子牛市場から導入する。「血統よりも管理のしやすいおとなしい性格の牛を選ぶことを心掛けて肥育している」と話す。

2年前からは、導入時の素牛の日齢や体重のほか、血統、生産農家など時期の情報、ビタミン投与時期といった飼養管理、と畜後の枝肉重や格付、歩留などの成績を1頭ごとにパソコンに入力してデータ化。機会があれば食肉市場に足を運び、仕上がりの状態を確認したうえで獣医師の指導や先輩農家のアドバイスも入力し、経営に役立てている。

また、体調管理にも気を配り、日々の観察を欠かさず行っている。愛恵さんは「一頭ずつ餌の食べ残しや、反すうの様子、ふん尿の状態などの把握に努め、状態の悪い牛はすぐに獣医師に診てもらっている」と話す。

就農当時は年に数回しか行っていなかった敷料交換も、毎月実施。もみ殻を中心に厚くすることで衛生状態が良くなり、病気や事故の低減につながっているという。

指導にあたるJA古川畜産課の八丁野麻衣さん(26)は「女性の視点できめ細やかに管理され、牛がとても落ち着いている」と話す。

愛恵さんは「データを収集・分析し、勉強と経験を重ねて肥育農家としてのセンスを磨いていきたい」と抱負を話す。

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