農業共済新聞記事バックナンバー

仙台牛「みやぎ美らいす」生産
期待に応える品質を

鈴木佑哉さん(大崎市古川)

【大崎市古川】「良質の牛肉を届けたい」と話す、肥育牛100頭を経営する大崎市古川の鈴木佑哉さん(38)。仕上げ時期には蒸して発酵させた玄米を給与することで、風味とうま味を増した牛肉を生産する。「みやぎ美らいす」のブランドで販売し、消費拡大を目指す。

鈴木さんは、祖父の代からの肥育牛経営を引き継ぎ、25歳で就農。「枝肉共励会で好成績を収めた祖父の枝肉が芸術品のように見え、自分も手掛けてみたいと思った」と振り返る。
素牛(もとうし)は、県総合家畜市場で県産雌牛を導入する。体躯(たいく)より顔の骨格、特に口の大きさが選別のポイントで、口が大きいほど育成期間に粗飼料をよく食べ、肥育期間中も食い込みがいいという。
導入後の3カ月間は、粗飼料を中心に与えて胃袋づくりを徹底し、その後、濃厚飼料の給与量を徐々に増加。圧ぺんトウモロコシや脱脂大豆などの単味飼料を、月齢や牛の状態に応じて一頭ごとに自家配合する。
肥育後半の25カ月齢からは、宮城県産飼料用米を蒸して発酵させた飼料「ふっくらライス」を給与。脂の質の向上が期待され、風味とうま味が増した牛肉になるという。鈴木さんは、地元の畜産農家らとともに「みやぎ美らいす」のブランドで出荷販売する。
他にも、肉質を良くするためにビタミン摂取の管理を徹底するなど、品質向上への取り組みを欠かさない。食い込み量を落とさず健康な状態で仕上げた肉質は、販売店や利用者から「脂の風味が良く、いくらでも食べられる」と好評。多くの取引先が信頼を寄せる。
「期待を裏切らないように良質な牛肉を安定的に提供していきたい」。鈴木さんは現在、JA古川とJAみどりのの若手肥育農家の有志で結成する「仙台牛担い手の会」の役員を務める。「仲間がいるから頑張れる。勉強会や販促活動を通じて互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、肥育技術の向上と消費者ニーズの把握を図りながら畜産を盛り上げていきたい」と抱負を話す。

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