農業共済新聞記事バックナンバー

サボイキャベツなど西洋野菜 安定出荷で信頼獲得

加美町中新田新園倶楽部(加美町)

【加美町】「西洋野菜を根付かせることができたのは、遊び心と根気があったから」と話す、加美町中新田新園倶楽部(くらぶ)会長の我孫子武二さん(66)。全国に先駆けて西洋野菜栽培に取り組み、安定した品質と収量を維持し続けている。

同倶楽部は、西洋野菜栽培を通して地域農業を特色付けようと1987(昭和62)年に設立。会員22人で構成し、ズッキーニからはじまりサボイキャベツ、リーキなど多品目を栽培している。
主力のサボイキャベツは、ヨーロッパ土産で種をもらい、89(平成元)年に初めて手掛けた。当時、栽培マニュアルは日本になかったため、手探りで試作。最初の2年は思うように結球せず、3年目でようやくソフトボールくらいの大きさに栽培することができた。我孫子さんは「種に夢やロマンを見る喜びだった」と話す。
現在は「中新田産サボイ」のブランドで11~2月にかけて築地市場に年間約1200ケース出荷。全国一の産地であるとともに、品質面でも市場関係者やレストランシェフから高い評価を得ている。
「栽培の魅力は、知らない人やものと出会えること」と我孫子さん。西洋野菜は、一般の野菜に比べて需要の変動が大きい。市場で一定の販売枠を獲得するには、良品を安定的に提供する以上に人と人との信頼関係が必要だという。
「西洋野菜の国内生産定着を共に目指した関係者の存在は大きい」と話す我孫子さんは、今でも東京に毎年出向き、市場関係者との情報共有を欠かさない。交流を通して消費者や実需者ニーズをつぶさに聞き、産地情報を定期的に発信しながら要望に応えている。
2014(平成26)年度はサボイキャベツ1203ケース、リーキ141ケースを出荷。本年度は9月の関東・東北豪雨で部会員の圃場が部分的に水没したが、昨年並みの出荷を目指す。
我孫子さんは「これからもいいものを作り、出会いを大切に地域の発展につなげたい」と話す。

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