農業共済新聞記事バックナンバー

和牛繁殖 一年一産を目標に

大友利哉さん(涌谷町)

【涌谷町】「優良な子牛を生産したい」と話す、涌谷町の大友利哉さん(38)。就農して2年目を迎え、父親の利明さん(64)と共に、黒毛和牛9頭での子牛繁殖と水稲6ヘクタールの作付けに取り組む。利哉さんが中心となっている繁殖部門では、一年一産を目標に少しずつ規模を拡大。経営の大きな柱を着実に築き上げている。

猛暑が連日続く中、小まめに牛舎に向かって餌の食べ残しや牛の状態を確認する利哉さん。「牛を観察することが何よりも大切。夏バテ予防には、たくさん水を飲んでもらわないと」と気遣う。
高校を卒業後、製造業で19年間勤めていた利哉さんは、自分で責任の持てる仕事を求めて退職。2014(平成26)年8月に就農し、今年6月には涌谷町の新規就農者として認定を受けた。利明さんから繁殖牛部門を経営移譲され、子牛生産に力を入れている。
「農業は新米なので毎日が勉強です」。利明さんの指導の下、地元獣医師や畜産農家、JAの畜産担当者から飼養管理を学び、積極的に子牛市場に足を運んで情報交換を心がける。
普段の管理では、出産前後の親牛の健康管理に特に力を注ぐ。出産の1カ月前から産後3カ月までの間、牛の状態によって餌の給与量を増やす。産後の子宮や卵巣の回復を早めて、良い状態で次の発情が期待できるとともに、母乳の出をよくさせることで子牛の初期成育を促す。
九州地方の子牛市場を中心に素牛(もとうし)を導入し、親牛は今後5年間で15頭まで増頭する予定。県の種雄牛との掛け合わせにも配慮しながら、無理のない範囲で経営し体重300キロくらいの優良な子牛の一年一産を目指す。また、自宅敷地内に牛舎の新築を進めている。
今年4月からは地元集落のNOSAI部長も務め、NOSAI制度の普及やとりまとめに活躍している利哉さん。「地域に貢献しながら後継者として地域農業を支え、NOSAI制度の普及にも力を入れたい」と抱負を話す。

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