農業共済新聞記事バックナンバー

イチジク 品質高め特産化の力に

阿部聡さん(山元町)

【山元町】早朝からイチジクを摘み取り始め、毎日の出荷作業の準備にいそしむ山元町の阿部聡さん(71)。妻・一枝さん(69)とともに1998(平成10)年からイチジク栽培に取り組んでいる。現在は17アールの園地で、甘露煮などの加工用に適した「ホワイトゼノア」を中心に、生食用の「ドーフィン」なども栽培する。
「管理のしやすさが魅力」と阿部さん。イチジクは生育が旺盛で、植え付けた翌年から収穫できるという。剪定(せんてい)した枝を挿し木すれば、個人でも苗木の育成が可能。消毒はほとんど必要なく、収穫も脚立を使わずに安全にできる。阿部さんは「年寄りに向いた作物だよ」と笑う。
ただし、剪定や芽欠きが不十分だと、枝が込み合って実の枝ずれを起こすほか、小粒になってしまうため、適度なバランスが必要だという。
収獲作業は9月上旬から10月いっぱいまで続き、昨年は約500キロを収穫。7割を市場へ出荷し、残りは亘理町逢隈の直売所で販売した。
山元町では近年、新たな特産物としてイチジク栽培の普及に力を入れている。阿部さんが始めたころは数戸しかいなかった販売農家も、ここ4、5年で大きく増加。阿部さんは「ライバルは増えたけど、栽培講習会などで情報を得る機会が増えたので助かる」と歓迎する。
今年新たに植え付けた幼木を眺め、阿部さんは「面積はこれ以上広げられないかな。若い木が育てば収量も増えると思うし、これからも品質の良いものを作っていきたい」と抱負を話す。

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