農業共済新聞記事バックナンバー

水稲新品種「ささ結」など 土作り徹底し良食味

加藤憲治さん (大崎市古川)

【大崎市古川】「猛暑の影響もなく、無事に育てることができた」と、黄金色に実った稲穂を手に取る大崎市古川の加藤憲治さん(66)。妻のちよ江さん(62)、息子の実(まこと)さん(37)とともに、水稲とシソの周年ハウス栽培に取り組んでいる。
水稲は、11ヘクタールで「ひとめぼれ」や「ササニシキ」など5品種を作付ける。2013(平成25)年から栽培を始めた「ささ結(むすび)」は、この10月に市場デビューした新品種。試験栽培から携わっている加藤さんも、ブランド確立の一端を担う。今年は109アール作付けし、「出来はまずまず。食味値だと80以上あるだろう」と十分な手応えを感じている。育てやすく、注文も多いため来年は面積を倍増させる予定だ。
量より質を重視した米作りをするという加藤さんは、20年以上前から「遅植え疎植栽培」に取り組んでいる。5月15日から25日ごろにかけて田植えを行い、使用する苗箱は10アール当たり12、13箱ほど。植え付け本数を減らすことで、風通しを良くして病害に強い稲を作ると同時に、苗代を抑えコスト削減を実現させている。
また、水稲栽培の要ともいえる土作りでは、化学肥料を使わず、有機質の肥料と牛ふん堆肥、米ぬか、魚かすを使い、良質な土壌を作り上げる。
全国の水稲農家が食味を競う「米・食味分析鑑定コンクール」にはこれまで6回出品し、特別優秀賞を3度受賞した。「レベルが毎年上がってきているけど、何とか金賞を取りたいね」。食味の重要な要素であるタンパク質の含有量に重点を置き、品質の高い米作りに努める。
直接販売の強化を今後の目標に挙げる加藤さん。「農政が今後どうなるか分からない。同じ志を持つ仲間とささ結のブランドを広げながら、お客さんとの信頼関係を築いていきたい」と抱負を話す。

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