農業共済新聞記事バックナンバー

全日本ホルスタイン共進会の県代表に
栄誉に自信深める

県加美農業高等学校(色麻町)

【色麻町】10月23日から北海道で開催される全日本ホルスタイン共進会(全共会)に出場が決まった、色麻町の県加美農業高等学校。生徒たちは、牛の管理や調教を通して牛との信頼関係を築いてきた。全共会出品の切符をつかみ、県の代表として最高の舞台に臨む。

美里町のみやぎ総合家畜市場で先ごろ、全共会への宮城県最終選考会が開催された。県代表牛8頭が選ばれ、加美農高の「カミノウアイオーンプリンス(愛称=マリー)」もその中の一頭となる。
マリーは、2014(平成26)年8月26日生まれの未経産牛で、体貌と骨格のバランスが良く、穏やかで従順な性格だ。
母牛は県農業高等学校(名取市)で飼養されている時に被災。津波から生き延びたものの、校舎が震災の津波で壊滅的な被害を受けたため、加美農高に移し飼養された。以来両校では、受精卵の提供や乳牛の飼養管理で交流が図られてきた。
最終選考会で手綱を引くリードマンを務めた農業科3年の大沼俊輝さんは「マリーはよく頑張ってくれた。全共会に向けて忙しくなる」と力が入る。日々の世話はもちろん、牛の体型や資質の改良が認められた瞬間だ。
飼養する牛の日頃の飼養管理は、食農科学部19人を中心に行う。給餌や搾乳、牛舎の清掃に加え、調教や洗体、ブラッシングなどを通して牛に愛情を注ぎ、先輩から後輩へ技術の伝承もしてきた。
農業科1年の門田龍季さんは「牛の世話ができる部活動があるため、加美農高に入学した。牛と気持ちを一つにしたい」と話す。畜産を担当する今野博章教諭は「全共会は改良の成果を披露できる最高の場。調教を仕上げて、良い結果を報告したい」と話す。
全共会は、5年ごとに開催される全国規模の乳牛のコンテスト。国の方針に沿って改良を進めている、各都道府県の選抜された優秀牛を一堂に集め、日本一を競う。前回は口蹄疫の発生や東日本大震災の影響で中止となったため、10年ぶりの開催となる。
牛は月齢で出品区分を分け、ホルスタイン種雌牛審査標準に基づいて「体貌と骨格」「肢蹄」「乳用強健性」「乳器」を審査する。
今回から乳牛を飼養する高校を対象とした「高等学校特別枠」が新設された。一般枠で宮農高、特別枠で加美農高が選ばれ、同じく全共会に挑む酪農家は「全国のレベルをじかに感じることは貴重な体験になるはず。万全の管理でお互い挑もう」と鼓舞する。

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