農業共済新聞記事バックナンバー

「素材を生かした加工で人気 30年変わらぬ味を提供」 亘理町 

【亘理町】「食材の良さを生かして加工しているので、ぜひ味わってもらいたい」と話すのは、亘理町の「山川果樹園」の山川玲子さん(65)。夫の収(おさむ)さん(68)と、果樹、水稲を中心に栽培する他、加工・販売まで行い6次産業化に取り組む。年間の加工品数は15種類を超える。

1970年ころにリンゴ栽培を始めた同果樹園は、現在、80㌃の園地で亘理特産の「フジ」、リンゴと収穫時期が重ならないウメ、ブドウなどを栽培する。
 山川さんが農産加工を始めたのは30年前で、自家産リンゴを販売している際に、「リンゴを年中楽しんでもらえないか」と考え、自己流で加工を始めたという。
 「当初、ジャムなどで何度も失敗したが、失敗のおかげで、今は食材の良さを生かした加工品になった」と振り返る。
 果肉が厚く柔らかい「南高梅」を使った梅干しも人気商品で、同果樹園では20本を栽培する。6月にウメを収穫、塩付け後に本漬けをする。300キロ入る樽に漬ける際、一緒に漬ける赤シソの量で出来上がりの色味が異なるため、長年の経験により量を調整する。実の色が薄い赤に変わったのを見極め天日干しし、9月に出来上がる。
 経験を基にした手作りながら、顧客から「昔から味が変わらないね」と話されることが、山川さんの自信とやりがいになっている。
 同果樹園では、年を通して「亘理のリンゴジュース(税込600円)」、「玲ちゃんの手作り梅干し(税込380円)」、「玲ちゃん亘理のみそ豆(税込350円)」を、逢隈ふれあいセンターをはじめ、町内5店舗で販売する他、旬の食材を使った逸品も提供する。
 山川さんは、「これからも、お客さまとの出会い、繋がりを大切にしていきたい」と話し、そのきっかけとなる商品パッケージも自らのデザインだ。「写真や文言を工夫し、目立つようにしているので探してほしい」と笑顔を見せる。

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