農業共済新聞記事バックナンバー

「万全の管理で出荷量が安定」

【白石市】「白石産のキクラゲを食べてもらいたい」と話す白石市郡山地区の佐藤主彬(かずよし)さん(24)。約15坪のハウス1棟でキクラゲの菌床栽培に取り組み、「きくらげ城」というブランドで生と乾燥、さらに加工品を地元の直売所で販売している。肉厚で食感の良い生キクラゲの魅力を伝え、販路拡大を目指す。

佐藤さんは大学卒業後、「祖父の残してくれたハウスで何かできることがないか」と、昨年就農した。
 キクラゲ栽培のきっかけは、母の得意料理である会津地方の郷土料理「こづゆ」だという。「キクラゲがたくさん入っていて、コリコリ食感が好きだった」と佐藤さんは話す。
 アラゲキクラゲの黒と白の2種類の菌床をハウスで管理し、3週間ほどで出荷する。
 白いキクラゲは変色しやすいため管理が難しく、鮮度を損なわないよう収穫と出荷作業は手作業で行う。
 「就農1年目はキクラゲ栽培に重要な温度や湿度の管理が試行錯誤の連続だった」と佐藤さん。「インターネットで情報を集め、少しずつ販売できたが、安定した出荷量を確保できなかった」と振り返る。  
 2年目の今年は、施設内の環境整備・設備投資に取り組み、1日に5㌔ほど出荷できるようになった。ハウス内の温度や湿度は、加湿器、散水機などIOT(モノのインターネット)機器の利用により、スマートフォンで遠隔操作し、管理できるようにした。
 また、乾燥機を導入し、形や大きさが規格外になったものは乾燥やパウダーに加工する。キクラゲは捨てるところがなく、収穫後の菌床は畑の肥料に利用している。
 「今後は菌床を増やし、地元の飲食店への売り込んだり、地元農家と一緒に野菜とキクラゲのコラボレーションをしたりしてみたい」と笑顔で話す。対面販売の情報や出荷状況は交流サイト(SNS)で配信する。(本郷)

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