農業共済新聞記事バックナンバー

「ヤマブドウ育ててワイン造り」

【気仙沼市】「自分が栽培したブドウで造ったワインを飲みたかった」と話すのは、気仙沼市の八瀬ぶどう園代表・田島憲司さん(73)。若いころから「老後は、自然に親しみながら働いてみたい」と思い、2002年にブドウ栽培を一からスタートさせ、醸造用ブドウ栽培の魅力を発信する。

田島さんは「一番苦労したのは、ブドウを栽培する土地の確保だった」と話す。 
 当初、行政や普及センターに相談したが、なかなか良い土地が見つからなかった。4年半をかけて少しずつ面積を増やし、現在は、3㌶の園地で栽培を行う。ブドウ栽培の講習も受けたが、県北では露地栽培の実績がなく、講師からは「やませの影響があるためブドウ栽培は難しい」と説明を受けたという。
 「諦めずに県北でも栽培できる品種を選定してテスト栽培を行い続けた結果、北上山地でも自生するヤマブドウがこの土地に合うことが分かった」と田島さん。それから醸造用にヤマブドウ栽培を始めた。
 醸造は岩手県花巻市の「エーデルワイン」と仙台秋保醸造所に委託していて、「八瀬」「YASSE」という2種類の赤ワインを販売する。
 また、収穫作業などのサポートクラブもあり、「作業体験のお返しに、ワインをお渡しする」という。  
 昨年収穫したヤマブドウは現在熟成中で、完成後の11月にサポート会員へお礼する。
 ヤマブドウジュースも製造を委託しており、地元の産直などで販売する。
 このほか、地元の月立(つきだて)小学校の児童へブドウに興味を持ってもらうため、「キャンベル」の収穫体験も行っている。
 田島さんは、「楽しいばかりの作業ではないが、ブドウを身近に感じてもらいたい」と笑顔を見せる。
▽八瀬ワイン直売所=090-7072-3376、気仙沼市台339の4、営業日:毎月8日、18日、28日(稲葉)

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