農業共済新聞記事バックナンバー

「食育に生かす」

【登米市】「ワサビ栽培を通して、子供たちへの食育として交流できるのが楽しい」と話す登米市津山町の堀田公雄さん(70)。登米市内では数少ないワサビ栽培農家で、登米市のグリーンツーリズム事業や小学校の総合的な学習の時間などへ積極的に協力している。

堀田さんは、年間45㌔ほどの花ワサビと葉ワサビを直売所などに出荷する。木漏れ日が差す環境に200平方㍍のハウスを設置し、水量に合わせた面積で栽培している。
 収穫には2年以上かかるため、年間に収穫できる面積が限定されてしまうことが出荷量の少ない理由の一つだ。
 病害虫対策には、「クモに駆除を手伝ってもらっている」とハウス内を指さす。一方で、「沢水を圃場に引いてかけ流しているから農薬は使わない」と水環境へ配慮する。
 登米市が行うグリーンツーリズムでは、神奈川県の中学生が十数年にわたり堀田さん方を訪れ、農業体験を行っている。中学校との交流会では保護者から「うちの子が農業系の大学に進学したのは宮城で何かあったのでしょうか」と尋ねられ、「農業体験の成果かなと思った」と話す。
 堀田さんは、「ワサビ栽培自体が登米市のグリーンツーリズムや、子供たちの食育につながっているようなもの」と笑顔。
 5月末には、地元の登米市立横山小学校(伊藤秀樹校長・児童55人)の3年生6人が総合的な学習の時間でワサビ栽培を学んだ。
 堀田さんの妻・好子さんが用意したワサビご飯を子供たちが試食。「あまり辛くない。おいしい」などの声が上がった。
 子供たちの声は、堀田さんがワサビ栽培を継続する力になっていて、「地元の子に、津山町には、ワサビ栽培が可能な素晴らしい自然があることを知ってほしい」と、今後も食育に協力していく意欲を見せる。(佐藤明)

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