農業共済新聞記事バックナンバー

「農地を守る」

【加美町】「先代たちから引継いだ農地を守るため、人員を確保し、助成制度を利用しながら持続的な営農に取り組みたい」と話すのは、農事組合法人アグリ神明(しんめい)」代表理事の畠山義信さん(71)。同法人は加美町の薬莱山の麓に位置する、東鹿原地区の有志5人が2020年2月に設立いた。昨年6月に地域おこし協力隊員1人を加え地域農業を支えている。

アグリ神明は主食用米12㌶、飼料用米18㌶、大豆16㌶、加工用ダイコン20㌃、ホウレン草5.5㌃を作付け、JA加美よつばに出荷するほか、町内の土産センターで販売する。
 同法人は東鹿原集落営農組合を前身とし、地域農業を担ってきた。組合員の高齢化や担い手不足による農地荒廃を防ぐために法人を設立。2015年に地区内の圃場整備が始まると、設立とともに大豆の作付けを同法人が担うこととなった。
 「個々の農家だけでは、農業施設や機械の資金面で苦労する。共同であれば個々の負担は軽減され、農作業に張り合いが出る」と畠山さんは期待を寄せる。
 中山間地域のため、耕作地は高低差があり、草刈りや病害虫防除の苦労もある。鳥獣被害対策も課題の一つで、特にイノシシ対策として電気柵の設置や集落全体での対策と意識付けに取り組んでいる。
 「農業経営は収入と支出のバランスが重要。近年の気候変動や自然災害は局地的で大規模なものが多く、経営のリスク管理のため、収入保険に今年加入した。農業収入を補償してくれるので安心感がある」と畠山さん。「農業経営は決して楽ではないが、互いに協力して農地を守りつつ、後代に引き継げるよう人材確保を進めていきたい」と今後の展望を話す。(鈴木)

ページ上部へ