農業共済新聞記事バックナンバー

「周年雇用で地域を元気に」

【登米市】「津山の土地を守り、土地を生かす農業を行う」と話すのは、登米市津山町の農事組合法人「フォレストウィンド津山」の尾張勝代表(60)。限られた農地で、品目を変えながら農作業を切れ目なく行えるよう工夫する。また、周年雇用により、地域農業の活性化に取り組む。

フォレストウィンド津山は2007年3月に設立。組合員6人で、水稲50㌶を主として、露地で小ギク60㌃、ネギ70㌃、セリ20㌃などを栽培する。
 津山町は面積の約8割が山林。山と山との境が急斜面で、平地から見ると壁のように山々がそそり立つ地形だ。
 「農地は限られるため、場所をうまく活用して経営を維持できるようにしたいと考えた」と尾張代表。「どんな水稲の作付けが津山町の気候風土に適するかを調査するため、試験的に水稲全耕地で直播栽培を行った」と話す。
「50㌶中5㌶は播種からやり直すことになったが、挑戦して次に生かすことが大事だと実感した」と意気込む。
 現在は、水稲の農閑期に、盆や秋彼岸用の小ギクを栽培し、冬場の就労対策としてセリやネギ栽培に取り組み、法人としての収益確保を図る。
 また、酒米の栽培を始め、地元酒造に依頼して自社ブランドの日本酒「初」・「翔」を製造し、事務所で販売する。
 尾張代表は「津山町は昔から、山とともに生きてきた。鳥獣害は悩みの種で、特にシカは天敵だ。最近では水害も増え、対策が必要だ」と話す。
 2019年の台風19号では北上川に流れ込む南沢川が氾濫し、河川周辺の水田に大きな被害をもたらした。
 「この土地で暮らしていく以上、自然と向き合うことが務めだと思う。法人経営の安定が津山の土地を守ることにつながる」と尾張代表は熱意を込めて話す。(伊藤恵)

ページ上部へ