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「復興から地域貢献へ」

【東松島市】東日本大震災で甚大な被害を受けた東松島市立沼(たてぬま)地区では、2013年12月に同地区6人の生産者で立ち上げた株式会社パスカファーム立沼佐藤正(さとうただし)(代表取締役・58歳)が、震災からの早期の復興と未来につながる農業経営を掲げ、営農を通して地域貢献に励んでいる。

パスカファーム立沼は、役員を含む12人で水稲30㌶と大豆20㌶の他、長ネギ、「仙台白菜」、アスパラガスやミニトマトなどの野菜を栽培。作業の周年化を図っている。
 以前から課題だった地域の担い手不足は、震災により加速化。佐藤代表ら6人の役員は、地元の農業者が辞めていく姿を見て、「自分たちが動かなければ」と強く感じたという。
 復旧による農地集約と、個人だった6人の経営を法人設立で1本化することで、大規模経営を可能にしている。
 「震災後、地域住民や農家の減少でコミュニティーが大きく変化した。立沼地区に限らず、周辺地域の方と親睦を深め、協力し合うことが大事であり、パスカファームがその懸け橋となれたら」と佐藤代表。毎年開催している感謝祭が、地域との繋がりを持つ大きなイベントの一つだ。
 昨年は新型コロナウイルスのため開催を断念したが、例年は収穫体験や食事の提供をはじめ、野菜の詰め放題も行う。立沼地区の住民はもちろん、周辺の人々や関係者など多くの人が詰めかける。
 また、ミニトマトは鉢を使ったポット栽培を行っていて、移動が容易なため水稲育苗後のハウス利用に導入するほか、地域の子どもたちにポットを提供して自宅での栽培を楽しんでもらっている。
 「設立当初は何をするにも苦労したが、徐々に面積を増やし農機具も増え、年間を通して作業ができている。今後も継続的に地域に貢献しつつ、地域と会社が互いに協力し合える関係を築いていきたい」と佐藤代表は話す。

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