農業共済新聞記事バックナンバー

「命の大切さ 実感」

【美里町】小牛田農林高校(宍戸周哉校長)農業技術科・肥育牛班の3年生6人はこのほど、全国の“高校牛児”がせめぎ合う「第4回和牛甲子園」(JA全農・オンライン開催)に県代表として3度目の出場を果たした。当校創立132年の血統を受け継ぐ黒毛和牛種「ゆうなみ号」について管理の数値化や、牛舎への工夫など、3年間の集大成を示した。

生徒たちは肉質向上のため、毎日の体調や食べた濃厚飼料の量、排泄物の色や状態の変化を細かく記録。牛の肛門からふんを掻き出す直腸検査を毎週行い、飼料中のトウモロコシや麦がきちんと消化されているか、餌の消化を確認する。
 月に1度の体重測定と血液検査の結果で給餌量を見極めていく。
 「データ化することで、牛の体調の変化を見逃さない。当番制で毎日管理するので、数字を見れば前日の体調の引き継ぎもスムーズ」とメンバーの中村千愛(なかむらちあ)さんは話す。
 2019年10月の台風19号で、牛舎の屋根が剥がれる被害となった。ゆうなみ号はストレスで食欲が減退し、給餌回数1日3回から2回に変更。良質なわらの収穫ができなくなり、粗飼料減少の影響は大きかった。
 「食い込みをよくするため、マッシュタイプからペレットタイプの餌に変更したが、何回もアシドーシス(消化不全)を起こし、正常なふんに戻るまで時間がかかった」といい、濃厚飼料を食べさせるため、牛が水を飲みやすい45度の角度でストール内に桶(おけ)を設置したり、ウォーターカップを飼槽の横に導入したりと、水飲み場を工夫した。
 暑さ対策に、手作業で牛舎の屋根を白く塗り、灌水(かんすい)チューブを取り付け。黒色の寒冷紗(かんれいしゃ)を屋根に張ることで、遮光、遮熱効果を高めた。
 「神経質でなかなか餌を食べてくれない牛だったが、1つの命として向き合い、この経験を通じて管理の大変さや命の大切さについて実感した。今後は後輩たちにもぜひ頑張ってほしい」と中村さんは振り返る。
 メンバーらは就職や就農に向けた県内外の大学校への進学など、4月からそれぞれの道に進む。

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